子どもの性被害への対応に関する実態調査を実施。よりよい社会システム構築のために報告書を作成しました。
子どもの性被害への対応に関する実態についてのアンケート調査を行い、このたびその調査報告書がまとまりましたので、概要を報告します。
調査報告書は下記URLよりご覧ください。
https://x.gd/OUBFT
【調査の目的】
本調査は、性被害に遭った子どもたちの被害内容や被害報告の特徴、その後の対応や報告が、その後の司法手続においてどのように用いられたかなどを明らかにするため、以下のとおりアンケート調査を実施し138 件の回答を得て、量的分析を実施した上、実際に被害事実確認面接に関わっている実務者からのヒアリングを行い、コメントを得たうえで、質的分析も実施しました。
子どもたちの傷つきや試練を少しでも減らせるよう、よりよい社会システム構築がなされることを目的としており、被害を開示してくれた子どもたちや、伴走した支援者たちの切実な声に対して、社会が変わるきっかけになるための一助となることもねらいとしています。
【アンケート調査の概要】
本実態調査は 2021 年 3 月に実施した実態調査に続くものであり、実態を広範かつ客観的に把握するために、調査対象や調査項目をより拡大して実施しました。
・調査名:子どもの性被害への対応に関する実態調査
・実施期間:2022(令和 4)年 10 月~12 月
・調査対象:全国(都道府県・政令市)の児童相談所、弁護士会
・調査方法:調査票を児童相談所および弁護士会に送付し、文書またはウェブで回答を得る形で実施
・準拠した倫理規定:国士舘大学倫理委員会専門部会に依頼し、2022 年 9 月 10 日に承認を得た
【総括(報告書よりの一部抜粋)】
本報告書では、アンケート調査及びヒアリング調査の結果を踏まえて、現状の法制度の下での課題を検討・整理するとともに、その限界も見据えて、必要な課題の検討・提案を行っています。
日本版 CACモデルの構築においては、単に「箱」を作れば良いものではなく、多機関多職種が相互理解を深める中での実践こそが重要であり、実践の結果をフィードバックさせて、よりよい制度構築に向けた継続的な議論が必要です。
子どもたちは、同一時点においても個別に状況が大きく異なる一方で、成長の過程とともに必要な対応や支援が異なります。長期的な視点を前提として、継続的かつ包括的に、子どもたち
に必要なものを提供できる全ての関与者や機関が集まり、相互に補完していくことが重要です。
それでもなお、子どもたちの傷つきは深く、私たちの手からこぼれ落ちてしまう。だからこそ、全ての専門家/専門機関が手を重ねて、また重ねて、重ねあって、子どもたちがこぼれ落ちないよう、できることを全てして、大切にサポートをしていかなければならないと考えます。
【報告書への記載概要】
■本調査の概要
■アンケート調査回答の分析
■子どもの性被害事案と心理支援
■子どもの性被害事案と刑事手続
■調査結果の総括と提言
【調査チームメンバー(敬称略)】
・齋藤 梓
上智大学総合人間科学部心理学科准教授
・宍倉 悠太
国士舘大学法学部法律学科准教授
・飛田 桂
NPO 法人子ども支援センターつなっぐ代表理事、弁護士
・吉開 多一
国士舘大学法学部法律学科教授