暮らしを支える

被害を受ける環境を離れ、安定した衣食住を得られたところでつなっぐの支援が終わるわけではありません。
むしろ、そこからの人生のほうが長い子どもが、被害から回復し、「自分自身を大切にする生活」を一日でも早く送れるようになるために、どんな小さなことでも、一人ひとりの状況に応じて、オーダーメイドのサポートをしています。

衣食住の支援

食を支える

生きるうえで、「食」は欠かせません。フードパントリーとしての役割と共に、子どもの「欲しいもの」「好きなもの」「食べたいもの」「嫌いなもの」を丁寧にききとり、スタッフが買い物をして送ります。
たくさんの諦めたり失ったりする経験から、なかなかお願いができない子どもが、「食品を送る・受け取る」を繰り返すうち、「自分の希望を伝える」という経験ができるようになります。

衣を支える

すべてを置いて家を出てきた子どもは、季節が変わると着るものにも困ります。生活を立て直すためのバイトに行くにも、バイトに適した洋服が必要となります。就職活動のためには、スーツが必要になるときもあります。おしゃれをしたい年頃の子どもたちと着たいものを一緒に買いに行くときもあります。
自分の好みの洋服を着ることは「自分を大切にする」一歩です。洋服を買いに行くことは、自分を見つめたり、自己肯定感を高めることにもつながっています。

住を支える

暮らしの中心は「住まい」です。一度安全な住環境を手に入れることができても、進学や就職を機に住まいが必要になるときもあります。一度手に入れた安全な住まいが、時には安全な環境でなくなる時もあります。しかしながら、親の援助を得られない子ども・若者が新たな住まいを得るには様々な障壁があります。どんな時でも、住まいを探したり、そこでの暮らしをスタートするために必要なものを揃えたりするサポートを行います。

同行支援

日常や将来を支える

行政機関(役所や年金事務所など)や、病院、学校など、日常の暮らしを取り戻すときはもちろん、暮らしがスタートした後も、これまで経験したことの無い手続きや申請をしたり、進学のために奨学金の手続きをしたりする中で、つなっぐが並走、伴走します。外出が一人で難しい時は、同行支援をしながら、手続きのサポートもします。専門家のアドバイスを借りながら、一つ一つ生活を整え、自分の将来のために一歩一歩前に進みながら、「誰かの力を借りながら生きていく」経験を重ねていきます。

こころを支える

虐待から逃れた子どもは、多くの場合、こころに大きな傷つきを抱えています。それが原因で、人間関係が上手くいかなかったり、様々なことがきっかけになり、こころが大きく揺れ動くときがあります。日々、少しずつ回復していながらも、アップダウンする子どものこころの内側を、衣食住の生活を支えたり、一緒に外出したり食事するやり取りの中で気付けることがあります。アウトリーチなサポートを進める中で、子どもを支える人たちで情報を共有し、物質的なサポートだけでなく、こころをささえるサポートをしています。
ボランティアさんと一緒に、楽しい思い出のある場所や、日常生活ではなかなか行かない場所(水族館や動物園、美術館やお花見など)に一緒にでかけて、一緒に食事をしたり、おしゃべりをしたり、お茶したり・・。「普段は食が細いけど、外出先でお腹いっぱい食べられた!」「最近ふさぎ込みがちだったけど、笑顔で一緒にスイーツを食べた!」そういった時間を一緒に過ごすことも、こころを支えることにつながります。

医療や福祉につなげる

暮らしを支えている中で、医療や福祉につながることで、より暮らしやすくなることがあります。時として、子どもは過去に自分に起こったことや、その後の経緯など上手く伝えられないことがあります。そのため、病院や福祉機関などを紹介したり、一緒に同行し、スムーズに受診や治療、手続きが進むようにサポートします。過去の記録が必要になれば、つなっぐが過去にかかわりのあった行政機関や病院等から子どもと一緒に情報を取り寄せたり、他の支援者からの情報を集めて、医療者等に伝えることもあります。
子どもを中心に、その時々に必要な支援につなげることで、抱える問題が大きくならないうちに対応することができ、その後の成長や自立への影響を最小限にするようにサポートを続けます。

生きる力につなげる

虐待から逃れる中で、家も友達も学校も失った子どもが、一つ一つ自分の欲しいもの、大切なものを取り戻す経験は、被害からの回復にとても大切なことです。食を通じたサポートにより、自分の希望が伝えらえるようになり、その後、様々な場面で自分の意見が伝えられるようになるといったように、少しずつの成功体験の積み重ねが成長につながります。
被害からの回復を支え、生活を支えていく中で、人間関係の構築の仕方や社会生活のノウハウなどを習得し、こころの回復と共に、その後の人生のための「生きる力」につなげていきます。

サポート団体

若者おうえん基金